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さて、先週末の6月24日に厚生労働省から平成27年度の過労死等の「労災補償状況」が公表されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000128216.html
ここでいう「過労死等」とは、下記の疾患、障害を表しています。
【原因】
業務における過重な負荷、心理的負荷に起因するもの
【疾患、障害】
・脳血管疾患
・心臓疾患
・精神障害
これらの疾患や障害、そしてこれらを原因とする死亡や自殺などが集計の対象です。
平成27年度は、「脳血管疾患、心臓疾患」も「精神障害」も、請求件数は増加したものの、支給決定件数は減少しました。
減少とは言っても、高止まりですし、「支給決定」は前年に請求されたものが含まれたり、当年に請求されたものが翌年に渡ったり、と一概には捉えられないところがあります。
さて、今年も、右肩上がりな上、引き続き注目が集まっている「精神障害」について見てみたいと思います。
(1)請求件数 : 1,515件(前年度比59件増)
(2)支給決定件数 : 472件(前年度比25件減)
(3)(2)のうち自殺者数 : 96件(前年度比6件減)
いかがでしょうか。
相変わらず多いことがお分かりいただけると思います。
年齢を見てみると、請求件数、支給決定件数ともに「40〜49歳」が最も多く、働き盛りだったり、管理職等で責任も業務負荷も重い年代と言えるでしょう。
時間外労働時間数別の支給決定件数は、労災認定基準にも影響されているでしょうが「100時間以上」が最も多くなっています。
そして、出来事(要因)別の支給決定件数で見ると、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」が1位、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が2位。
昨年1位だった「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が3位となっています。
つまり、「40〜49歳」の働き盛り年代で、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事」があり、「月の残業時間が100時間以上」の方が認定されているというモデルが見えてきます。
(※単純に重ねていますが、あくまでも一例としてご参考ください。)
精神障害の要因の一つとなる、いわゆる「ストレス」の対処をしようにも、仕事の時間や負荷が高すぎて、うまく気分転換等ができないのは厳しい状況といえます。
「ワークライフバランスを!」なんて声高に叫ぶつもりはまったくありませんが、「自分の時間」をもつことの重要性を会社も労働者も見つめてほしいと思います。
特に、この統計は「労災補償状況」ですから、「会社の業務等が原因で発症」しているわけですから、会社に原因があるんです。
よって、この状況は会社がしっかりと把握し、自社の業務等の改善に活かしてほしいと思います。
会社が成り立つのは従業員あってこそ。
無駄に制度を甘くしたり、下手に出るということではありませんが、事業のパートナーとして、そして一人の人間として従業員を見るだけで、ずいぶんと労務管理も変わってくるのではないか、と思っています。
さて、昨年も同様のことを書きましたが、、、
「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」のが原因となるものが60件あります。
前述した1位の「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」が75件。
それほど大きな開きはありません。
つまり、それだけ嫌がらせやいじめなどが横行してしまっているということでしょう。
昨年も2位でした。
これだけパワハラや職場いじめなどが話題に上っているにもかかわらず、労災認定されるほど重度な案件が発生しているのです。
新聞紙面やネットニュース等も賑わせますものね。
こればかりは加害者個人の資質、、、なんて言わず、しっかりと会社として職場環境を改善して整えていってほしいと、心理職の端くれとして思います。
職場環境の改善と言っても幅広く、単純に従業員に教育・研修を行うこともそうですし、自社で何かが起きていないか、定期的にアンケート(記名、無記名問わず)をとるのも一考でしょう。
相談窓口などもお金をかけられるなら設置したいですし、難しいなら「無料相談窓口」を周知してみたり。
やり方は多種多様。
自社にあった方策を練ってほしいと思います。
もちろん、予算も限りがあるでしょうから、無理せず、まずはその範囲で結構です。
そのような姿勢が従業員に伝わるものです。
話がずれてしまいましたが、、、
国がたくさんの施策を練っても、精神障害の労災件数が減りません。
昨年12月からは「ストレスチェック制度」が導入されました。
この効果や統計などはすぐに出るものではないでしょうが、これをキッカケに会社も労働者も向き合えるようになるといいですね。
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